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事前確定運賃とは?利用方法、3社のアプリと押さえておきたいポイント

タクシーアイキャッチ

事前確定運賃って聞いたことありますか?その名の通り、事前に料金とコースが確定する事で安心な乗車が出来る仕組みです。

しかしたまにアプリ配車でお客様が決まりをよく理解していなかったりしますし、ドライバーもよく理解できていないケースもあるかもしれません。お客様としてご乗車頂く方、そしてドライバー共に事前確定運賃を利用した乗車方法についてこの機会に理解を深めてみましょう。

目次

事前確定運賃が生まれた背景

規制改革推進会議が規制の緩和を国交省に要求し、これを受け同省が事前確定運賃の導入に向けた制度変更などの検討を進めたのが始まりのようです。2019/3/20に開催された政府の規制改革推進会議でタクシー乗車前に運賃を確定させる制度の導入に向け道路運送法に基づく同省の通達を改正する方針を表明し、2019/4/26の公示“一般乗用旅客自動車運送事業の事前確定運賃に関する認可申請の取扱いについて”にて運用ルールを定め、2019/10/11の公示“一般乗用旅客自動車運送事業の事前確定運賃算定に用いる係数について”にて運賃計算に用いる係数が定められました。

駆け足で色々な制度が定められた背景にはオリンピックでの訪日外国人観光客の利用促進が当然ながらありました。外国の方が乗った時に「道に詳しくないんだからどうせわからないだろう」とわざと迂回するタクシードライバーから外国人を守る、事前にコースと運賃が分かることで安心して外国人の方にも利用していただける制度というわけです。

事前確定運賃とは

事前確定運賃は、配車アプリに搭載されたナビ(一般的に流通し、随時更新できる物に限る)を利用して、旅客が入力した乗車位置と降車位置の間の距離をもとに距離制運賃に、関東運輸局長が年度ごとに定めた係数を乗じ、一円単位を四捨五入して算出する。

引用:関東運輸局2019/4/26公示
“一般乗用旅客自動車運送事業の事前確定運賃に関する認可申請の取扱いについて”

上記にある係数というのは運賃を計算するにあたって必要なものですが、普段お客様とドライバーはその係数によってすでに計算された運賃をお互いにやり取りするのみです。直接触れることのない要素ですので詳細は割愛しますが計算の仕組みとしてこのようになっていると理解しておいてください。

国土交通省広報ページ 本格運用ルールの概要

利用可能なアプリ

事前確定運賃制度を使える主なアプリ
※あいうえお順
Uber
https://www.uber.com/jp/ja/

S-RIDE

GO《ゴー》

事前確定運賃での配車要請は各社アプリからの注文に適用されます。

運用ルール

運用ルールは関東運輸局による2019/4/26の公示“一般乗用旅客自動車運送事業の事前確定運賃に関する認可申請の取扱いについて”に書かれておりますが、文章が長いので引用は避け、お客様やドライバーにとって必要な部分だけを分かりやすい文章にして記載します。

お客様にとってのチェックポイント

アプリでの注文時、お客様に対してアプリ内で注文内容の確認、注意事項の了承の上で注文が成立しますのでしっかりチェックしましょう。

アプリでの注文時

  1. 全体の走行ルート、経由地地点、有料道路出入口の場所、有料道路有無の確認をした上で事前確定運賃での注文を確定すること。
    やむを得ないものと事業者が判断した場合における走行予定ルート上の施設への立ち寄りはOK。
    ※いったん進行してしまったら指定された走行ルートからは原則逸脱不可。自身での確認に自信のないお客様は実車になる前にドライバーに確認するとよい。
  2. 道が空いていて、メーター料金のほうが安いと思われるケースもあるという事について了承する事。メーター料金で乗った時のほうが安いといっても返金は一切できない。
  3. 荒天、イベントによる大規模交通規制がある場合は注文時に事前確定運賃適用不可の旨がアプリで知らされることになっている。
  4. 障がい者割引は乗車後に手帳等をご提示いただいた時にドライバーの操作によって割引が適用される。
  5. 有料道路料金(降車時に確定)、迎車料金は事前確定運賃とは別途必要となる

乗車してから

  1. 勘違いや予定変更などで大きくコース変更する場合はドライバーが実車ボタンを押す前であれば「事前確定運賃やめます」と申し出ることで事前確定運賃のモードを取り下げ、メーター料金で進行可能。
  2. 事前確定運賃で実車ボタンで進行てしまった後のお客様都合での大きなコース変更は不可。事前確定進行途中であってもどうしても変えたいのであれば一度事前確定運賃を全額払って中断し、中断した場所からの続きはメーター料金での進行となる。

ドライバーにとってのチェックポイント

実車前

  1. 会社都合でメーターが同時に動く場合、お客様乗車から降車時までメーターカバーの装着を継続する事。
  2. 事前確定運賃適用で指定のルートのみの進行になる旨を伝える。実車前ならば事前確定運賃適用を取りやめることができるので必ず実車ボタンを押す前に確認する事。

特に長距離だった場合のお客様による誤った下道の選択はお客様にとっても自分たちにとっても非効率この上ないのでルートの再構築の為の事前確定の取りやめを提案したほうが良い。

実車後

  1. 事前確定運賃での実車ボタン押下後は原則お客様都合による指定のルート逸脱は不可能。どうしてもお客様都合で逸脱する場合は逸脱の決定時点で事前確定運賃全額をいったん清算した後、続きのルートはメーター料金で進行する事。
  2. 道路工事による通行止めなどやむを得ない道路事情によるルート変更は運転者都合なので、お客様へルート変更の説明の上了承を得た上で変更したルートで進行し、料金は事前確定運賃を適用する。
  3. 障がい者割引は乗車後に手帳等をご提示いただいた時にドライバーの操作によって割引が適用される。
  4. 有料道路料金(降車時に確定)、迎車料金は事前確定運賃とは別途必要となる。

メリットとデメリット

お客様にとってのメリットデメリット

タクシードライバーとしてはあまり言いたくはないですが、どうしても渋滞のルートを通らないといけないお客様には渋滞による時間メーターが進まないように思えるので得した気持ちになれるいい仕組みかもしれません。(とはいえ、運賃の根拠となっている係数の中には渋滞する事が織り込み済みの値段設定がされている)

また、道の説明がうまくできないお客様でもナビによって設定されたルートが運転手のナビ画面に示されるので便利です。
決められた道が渋滞しているくらいではコースの変更はできないので、急いでいるお客様にはあまり向いていない場合もままある印象です。(特に下道オンリーの場合)
そしてお客様の都合で実車途中でどうしても進行ルートの予定変更しなければいけなくなった時には余計な出費を覚悟する必要があるのは大きめのデメリットです。

メリット

■確定金額を事前に把握できる

■渋滞に影響されない印象なのでメーターが上がるのではと焦る事がなくなる
メーター料金では時間メーターというものがあります。通常では10キロ以下になると時間の計算もされるので渋滞したときには停まっていてもメーターが進みますが事前確定運賃では時間の影響を受けない印象になる。(ただし係数の中に渋滞込みの計算がされている)

■ルートが分からなくても安心
お客様が道路の説明を出来なくてもナビによってある程度の適切なルートを出してもらえてその通り走ってもらえます。

デメリット

■地図の見方が分からないとそのルートが本当に適切かどうか見分けがつかない。

■予定変更になった時のルート変更を事前確定運賃の進行途中でしたときは事前確定運賃+その後のメーター料金を支払わなくてはならず、余計な出費になる。

■メーター料金より高い場合もある。

乗務社員にとってのメリットデメリット

途中でお客様に違うルートを走れと言われてもプロであればしっかり説明し、原則決められたルートを逸脱してはいけません。たいていは実車前に固定されたルートの確認をして事前確定を解除することでお客様の損になるようなイレギュラーなケースをある程度防ぐことができます。

メリット

■メーター料金よりも高くなるケースがある

■タクシー経験が少なく道の事情に詳しくなくてもナビ通り走ればよいので安心

デメリット

■渋滞にはまると時間メーターという概念がないのでお金にならない時間を無駄・損に感じる

■明らかに非効率なルートと分かっていても決められたルートを走らなければいけない。

■万が一の際の料金が高くなるという説明はしづらい

運用ルールを逸脱した悪質客の具体例

決められたルートを通らないといけない運用方法ですよというルールがあるのにもかかわらず、そのルートを逸脱して走れという指示を出す悪質な客が最近増えてきましたので事例を共有します。

ここでいう「決められたルート」というのは、お客様自身によるアプリでの事前確定注文時に確認画面で確認済みのはずのルートです。事前確定を行っている事業者のアプリの指示によって決められているので、ドライバーが決めているわけでもなければ、車載のナビがルートを決めているわけでもありません。

物理的には配車されたときに既に固定で決められたルートの線が、車のナビ画面に重ねて表示されている状態になっているということです。

解りやすい例を出しましょう。

コンビニでSサイズのブレンドコーヒーを購入したとします。コーヒーを入れるときに自分が持参した大きめの紙コップをおもむろに出し、Lサイズのカフェラテのボタンを押す。

普通の感覚ならこういうことはしませんよね。これは泥棒です。

事前確定でコースを逸脱して走れという事はこれと同等です。これが許されてしまうと、約束の目的地は近いのに成田空港まで行ってからその目的地へ行ったとしても2000円で済むことが成り立ってしまいますね。

具体例を出していきます。

猿楽町~目黒区役所のケース

まずはコースを見て下さい。

事前確定指定のコース

客が行けと言ったコース

マップで見るともう基本短いコースだし、一般の皆さんにとってはこの二つのコースは見た目にもそんなに変わらなそうに見えるのではないでしょうか。しかし事前確定指定のコースはまぁ、この辺を走るタクシードライバーに言わせればはっきり言ってどんくさいコースです。けこちも自分で行くならよりスムーズと思われる二つ目のコースで行きますね。

しかし、事前確定で配車したらからにはこのどんくさいコースで行かなければいけないのがルール。そのルートで運賃が計算されているからです。

この客、乗ってきた瞬間に大声で「とにかく急いで!!」と言ってきました。これは何かしらずるい流れにしようとする客の常とう句です。新人ドライバーの方は覚えておいてくださいね。その客はドライバーを慌てさせてどさくさに紛れて「何か」をしようとします。「何か」はその時々で様々なケースがあります。

この後不快で不毛なやり取りが行われます。

客「(二つ目のルート)で行って!」

けこち「恐れ入りますが事前確定運賃での配車なので決められたルートしか走れません。もしご希望のルートで行きたいのであれば今(実車ボタン押す前)なら事前確定をやめることができますけれどいかがいたしますか?」

大声で何度も発車しろとうるさかったけれど、答えを聞くまでは絶対に発車しませんでした。こちらが正しい対応をしているのに大声で威嚇する客というのはまともではないですからね。

※しかしながら結構前の話で記憶があいまいなのでここでどっちの運行方法にしたか覚えていない(笑)

そしてそのあとずっとおたくのナビが悪いんだ、こんなコース出して、みたいな話を到着するまでずっと繰り返し。ところどころ「そうですよね、効率悪いルート出すんですよ、だから事前確定なんてやめればいいんですよ」という話をしたような。まぁとはいえすぐ着いちゃいましたけど。

とにかく走りたいルートでない場合は今後事前確定はやらない方が良いですよ、と言って降車させましたけど、こういうやり取りでどれだけ嫌な気持ちになるか皆さん想像できますか?

同じケースで田園調布の駅から車で一~二分の家までのルートもおかしなルートで、その通りに走ったら逆切れして怒鳴るという輩がいました。めちゃ近いので事前確定なんてする効果はないと思われるからやめればいいと思いますけどね。

はっきり言ってタクシーを高額料金で頻繁に利用するお客様はこんな2例の事象のような態度は決してしません。お互いをリスペクト出来る人たちばかりです。快適に乗るためにお金を出すことを惜しまず、小銭を少しでも安くしようなどとは思わない方たちばかりです。そういう方たちの為に私たちは能力を発揮して満足していただこうと努力をするわけです。

これらのような出来事によって、個人的にはタクシーに乗り慣れていない上に態度や言動が暴力的、のような品質の悪い客層になる事が多い事前確定なんてなくなればいいなと強く思っています。

微妙に目的地を過ぎたところで降車させようとする

これは客がおそらく事前確定の配車を決めるときに、微妙な値段の違いがあるから降車したい位置よりも少し手前に設定して値段を安くする行為だと予測していますが、こういう小さくてもずるいことする人間が出てくるのならもう事前確定という仕組み自体をやめてもらいたいなと嫌な気持ちになる事象です。私たち乗務社員は懸命に国土交通省のルールに沿った運用をしようとしているだけなんですけどね。

下の地図で言うと、配車アプリの目的地は駒沢通りから入って来て恵比寿駅東口の交差点の一つ手前の信号の位置なのですが、実際には恵比寿駅東口交差点を右折したところで降ろせという。(ナビ機能を利用して線を引いています)

けこち
ばかばかしいし迷惑なので事前確定なんてやめてもらっていいですか。国土交通省さん。

まとめ

どうですかみなさん…説明しておいてなんですが、理解しなければいけないことばかりでお客様ドライバー共々面倒だと思われた方も多いのではないでしょうか。
ドライバーによっては「いいよいいよもう面倒だから」と言いたくなりそうです。

タクシードライバーの私があくまで個人的な感想を言わせていただくと、乗務社員にとってこの制度はタクシーらしい動きができないストレスを感じることが多い印象です。なぜならタクシーはお客様をお乗せするときにお客様に満足していただくために経験とツールを駆使して最良のコースを提案したり、不利な状況をうまく潜り抜けて時間通りに到着したりしてお客様に喜んでいただきたいのに、一見まともに見えるルートがタクシードライバーなら絶対選択しないような渋滞のメッカの交差点を通るとわかった時などにやるせなさを感じます。現時点ではお客様とタクシードライバーのそれぞれにメリットもあればデメリットもあるという事です。運用しながらどちらにも損がないように、困らないように、さらにこの制度が進化できたらいいですね。

オリンピックで訪れるであろう外国の方々を意識して作られたこの事前確定運賃。日本人でも理解できないお客様がいらっしゃるのに、外国の方が理解できるのか心配です。各アプリがしっかり英語対応してくれていることを祈るしかありません。ただ、都内から成田まで下道のルートを示されたときに外国の方にちゃんと納得していただけるような説明ができるのか自分の英語力では自信がないですが、万が一の時には翻訳ソフトを駆使してやりきるしかないでしょう。

GOする!キャンペーン実施中
タクシーが呼べるアプリ GO《ゴー》



※エリア限定/新規限定/月間3回まで

実施期間
2021年6月3日(木)11:00~(終了日未定)

対象エリア
北海道/埼玉県/千葉県/東京都/神奈川県/愛知県/京都府/大阪府/兵庫県/福岡県
※一部地域を除く

概要
乗るたび500円クーポンがもらえる、「GOする!キャンペーン」を実施中(新規限定/月間3回まで)

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