運転手の名札掲示義務廃止について

運転手の名札掲示義務廃止について

つい先日、こんなニュースがラジオから流れてきてびっくりしました。

 バスやタクシー運転者の名札、掲示義務を廃止へ プライバシーに配慮

これは当事者にとっては安心です。名前を晒しながら仕事をしている労働者の一員として女性であるけこちの経験と思いを少しお話します。

目次

タクシー業務適正化特別措置法によって定められている運転者証の車内掲示

タクシーに乗ったことのある皆さんなら目にしたことがあるでしょう。助手席の前のスーパーサインに刺さっている運転者証を。

スーパーサインにささる運転者証

こんな感じでささっています

タクシーの場合、法律で運転者証を車内に掲示しなければならないことになっています。営業時に車内に掲示せずに走ったり、裏返して走ったりするとタクシー業務適正化特別措置法違反となります。

第二節 登録タクシー運転者証等

(運転者証の表示)
第十三条 タクシー事業者は、登録運転者(第十条第二項の規定によりその登録の効力が停止されている者を除く。)で第七条第一項第一号又は第二号に該当していないものをタクシーに運転者として乗務させるときは、当該登録運転者に係る登録タクシー運転者証(以下「運転者証」という。)を、国土交通省令で定めるところにより、当該タクシーに表示しなければならない。ただし、その運行が旅客の運送を目的としない場合は、この限りでない。
(運転者証の交付)
第十四条 国土交通大臣は、タクシーの運転者として登録運転者を雇用しているタクシー事業者の申請により、当該登録運転者の登録に係る単位地域ごとに当該登録運転者に係る運転者証を交付する。

タクシー業務適正化特別措置法(昭和四十五年法律第七十五号)

ちなみに、この運転者証を取るのに、東京23区武蔵野三鷹地区では地理試験を受けなければなりません。そしてこの運転者証は、法人の場合は会社管理ですので仕事以外の時に個人で持ち歩けるものではありません。

この青い帯は5年無事故無違反の人に与えられるもの。一般的には「ついていない人」、或いは「わざとつけていない人」の方が割合多いでしょうか。他に10年15年など無事故無違反の継続を表彰してくれる制度があります。個人タクシーになる際にこの帯がついていれば少しいいことに繋がりますのでけこちは付けています。普通のより大きいので通称「デカ板(ばん)」(この漢字はあっているかどうかわからないけど)とも言われているみたい。

↓個人タクシーについては以下のページで少し詳しく取り上げています。

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女性であるけこちの運転者証にまつわる経験談

この仕事をする前までは、公共の場で氏名をさらす経験はなかったので正直抵抗感がありました。けこちが乗務していて実際に気になったのは以下のような出来事。

謎のシャッター音に少しばかり恐怖を感じる

若い人に多いこの車内でのスマホのシャッター音。何してるのかわかりませんが、運転しているこちらにしてみれば、自分の写真を撮られているのか、又は運転者証を撮られているのか、など気になるのと、何らかの自分の情報を勝手にSNSなどに上げられたらいやだななどと少しばかり恐怖感が芽生えます。ただの思い過ごしかもしれないし、こちらは特に悪いことをしているわけではないので普通にしていますけれども。

不思議なことにコロナ渦~アフターコロナではこの謎のシャッター音は聞こえてこなくなりました。理由はよくわかりませんが、コロナの影響で給料が下がったり失業したり、タクシー運賃が値上がりした事などで多少客層が変わったのかなという予測をしています。

とにかく、乗務社員という個人情報を公共の場に晒していることにより、ネット上に自分の情報を上げられるかもしれないという点では一番怖い事と言えるでしょう。

名前をネタにして個人的なことを根掘り葉掘り聞かれる

お客様が運転者証を見て

「あなた〇〇出身だね?」

けこち
「あー確かにこの苗字は主人の名前でして、主人はそこの出身ですね」

まぁこの程度のやり取りならまだいいのですが、そこから話題がプライベートな領域にグッと入り込んでくることがあります。

「お子さんはいるの?旦那は?」

ちなみに毎回この順番で聞かれます。この順番で聞かれると離婚したという事を言わないといけなくなります。(結婚していないということは嘘なので、できれば人として嘘は言いたくないわけで)逆なら「いません」「あー独身なんだ」で終わるのですが。

あくまで割合の話ですが、このような質問はコンプライアンスという概念のない時代を生き抜いてきた「年齢層が上の人」が多いです。けこちの年齢でこの仕事についているという事は離婚でもしたのではないかということを確かめたくなっているかのような言い回しに毎回聞こえます。

けこちは昭和の子なので、自ら笑いのネタにして

けこち
もう苗字なんて三つ目だからたまにどれだかわからなくなりますよ。わはは!

なんて冗談を言ってしまうわけですけれども、我ながら今の時代では正しい対処とは言えないのではないでしょうか。本当は傷つく乗務社員ベースで一人一人が言動を考えないといけないのかなと思います。人は見た目では楽しそうに笑いながらも、実は傷ついている事って結構あるものですからね。

ちなみに正しい対処の仕方は「プライベートな事なのでお答えできかねます」と言う事でしょうが、言い方によっては空気が難しいものになり、なぜか却ってこちらが気を遣う羽目になる可能性も出てくる。

なので、けこちは少しちくっとする要素を織り交ぜながら笑い飛ばす感じにすることが多いです。つまらない空気になるより、ちょっと気の利いた言い回しで自分も引きずらず、空気も楽しい感じで終われれば「じゃあがんばってね」、「はーい」で終われます。結局自分が強くならないとこのような仕事を続けられないというのが現実とでも言いましょうか。そしてまぁ、はっきり言ってしまうとタクシーやっていれば実際にはこんなこと以上に嫌な経験が沢山あります。

知らない人だから話せる、という事もある

この件については、逆に考えると「通りすがりの人だから話せる、聞ける」ともいえるわけです。タクシーというのは不思議なもので、悩みを話してくる人もいます。それは通りすがりだから話せる、第三者の客観的な意見が欲しくて聞いてくる、そしてその述べられた言葉を自分が出会った運命の指標にする人もいます。

特に、このドラマをやっていた時はやけに悩み相談されたのを覚えています。

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竹ノ内豊さんのようなかっこいい乗務社員がいたら業界が変わるでしょうな。

↓参考までに実際のタクシー運転手たちの集まる営業所のイメージってこんな感じだと思っている(あくまでけこちの主観)

あ、こんな感じとはいえハン・ソロもいませんので誤解なきよう。

けこち
楽しそうでしょ?これはこれで。

 

話は戻りますが、そんなやり取りのきっかけが本名と顔が表示されている運転者証だったりするわけです。

宅配のトラック、又は何らかの営業車の方は車外に向けて氏名を晒しているケースも

タクシーで街中を走っていて思うのは、宅配・その他トラック車両や、何らかの営業車両の後部に氏名を掲示させられているケースが多いですよね?タクシーは車内掲示ですが、彼らは街中の不特定多数の人々に対して名前を晒しています。他人事ながら気の毒だなぁと思っていました。まぁ本人たちにしてみれば会社のいう事は従わないといけないし、その上で恐らく現在のけこちのように慣れてしまっているのだとは思いますが。

運送業界だけではなく、医者などの医療従事者も命に係わるお仕事で逆恨みされたりするケースはあるそうで、顔や名前を晒させるのはやめてほしいという声がネット上にありました。タクシーの運転者証のこのニュースがほかの業界の方の身を守る事に繋がるとしたらとても有意義な事ですね。

SNSで拡散される危険性のある現代では番号がベスト?

運転者証の顔写真を無くし、名前は番号に置き換えれば、万が一クレームを伝える際には識別ができるので支障にはならないのでは。

あとがき

このような仕組みになった元々のきっかけは、その昔タクシー乗務社員の態度が相当悪かった時代があったようで、顔と名前を分かるように表示することで抑止力にしていたようです。しかしネット上に晒されるとなると話は別。そのような危険性のある可能性は別の形にして頂けたら、現状で晒して仕事している私たち職業ドライバーにとってはありがたいですよね。

ずっと掲げて走るのが当たり前だったので、なくなるとなると寂しいような…いやいや、番号管理なら賛成します。

青帯がついた嬉しさのあまりタクシーセンターの女子トイレで撮影(数年前)

青帯がついた嬉しさのあまりタクシーセンターの女子トイレで撮影(数年前)

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